こんにちは。淡海ネットワークセンターの牧野(=^・^=)です。
おうみネットサポーターの小久保さんから、大津市の琵琶湖西岸にあるびわ湖ローズタウンで13年前、主婦を中心とした20数人で、高齢者や障がい者への配食サービスから始められ、デイケアハウス、コミュニティレストランなどと活動を広げてこられた「NPO法人琵琶湖ライフケアシステム」さんの取材報告が届きましたのでご紹介いたします。
ぜひお読みください。
【取材報告】
大津市の琵琶湖西岸のなだらかな丘陵を住宅団地として開発されたびわ湖ローズタウン。分譲開始から40年ほどを経て、今や4500戸にのぼるベッドタウンではあるが、現在は高齢化が進み以前のような元気な街が消えつつあるようだ。
ここに住む主婦ら女性たちが自分たちの先行きを考えながら、「一人でやるより仲間が集まって」介護支援のグループを、とNPO(民間非営利団体)を13年前に立ち上げた。主婦を主にして20数人。なにができるか? 自分たちにできることを活かして、まず高齢者や障がい者への配食サービスを計画し、近くの民宿の調理場を借りて週2回の弁当配食を始めた。その後、ローズタウン内で閉店していたレストランを借りて、配食に次いで喫茶室へ間口を広げた。カウンターと机3つで最大15人が入れて、週1回開いたミニ喫茶に近所のお年寄りたちが次第に集まりだし、午後からの半日を、おしゃべりしたり、ゲームをしたり、くつろげる空間となってきた。
今回は、このNPO法人琵琶湖ライフケアシステムの理事長である田中さんからこれまでの活動や現在の状況、これからのことなどについて色々とお聞きした。
ここは、湖西線の小野駅の直ぐ横にあり、琵琶湖がそのゆったりとした姿を紺青の色と透き通る青い空の下に見せている。近くには、小野妹子などの小野一族の神社や古墳がある緑と湖と歴史のある街である。そんな中で、元気な女性の方たちが頑張っている場所でもある。
1、琵琶湖ライフケアシステムとは、
このNPOは、田中さんとその仲間の想いがこもっている団体のようだ。「好きな食事作りをみんなでやって、高齢で食事作りが難しくなった人へお弁当を届ける」という想いである。弁当配食を地域の人たちにしたいとの想いの強さからこれまで2回ほど場所を変えてきた。いずれも、元民宿の家を借りてやって来たが、今の場所の立地のよさと高齢者が増えつつあったこの地域での配食や「おしゃべりの出来る場所」などへの要望の高さに期待し、10年ほど前にここに移った。駅の直ぐ横でもあり、店を開いてから徐々にクチコミで人が集まる様になり、様々なサービスを追加しながら、地域の人が集まる現在の姿になっていった、と言う。
まず、田中さんからその概要をお聞きした。
「本法人は、大津市のJR湖西線小野駅南側に喫茶・食堂を開いて、地域の人たちが気軽に交流する「居場所」を提供しています。1階の食堂・喫茶に加え、2階にフリールームを備え、趣味の教室のほか、目前の湖面に群がる野鳥観察が楽しめます。大規模な住宅街の一角に、だれでも、ゆっくりくつろげる地域福祉の拠点となっています。
主な事業は、美湖ちゃん弁当の提供、サークル活動、日常支援、町なかデイハウス美湖、高齢者世帯向け配食に昼食・夕食弁当の配達など地域のコミュニティ作りを主点に様々な活動をしています。
美湖のサークルは、パソコン・手編み毛糸・創作折り紙・健康麻雀・小物作り・絵手紙・ウクレレと現在7講座あります。各々ボランティアの先生の指導のもと、皆さん和気藹々と和やかに活動しています。
日常支援では、植え木の枝を1本1本仕分けして剪定したり、高齢に伴い、他の人に頼みたい日常の小さな仕事を肩代わりして喜んでもらっています。町なかデイハウス美湖は、ローズタウンの中でデイサービスをしています。日々のご利用者の明るい談笑、お互いを思いやる声掛けや心配りに感動し、年を重ねていく事の素晴らしさを学んでいます。今日も楽しかった。また、逢いましょうね、と挨拶をかわされる皆様の笑顔にささえられて来た。このつながりが大きな輪になって、地域に広がっていきますようにと願っています」。
2.現在の主な活動
多くの活動は「コミュニティレストラン ボナペティ美湖」で行われている。食堂・喫茶は月~金曜、午前11時30分から午後3時まで営業だが、食堂や物品販売コーナーやフリールームなどを備えた多機能な拠点として認知度は高い。特に、日替わり定食650円の自慢は、新鮮な地元産の米や野菜を使っていること。近所の農家から直接仕入れるほか、会員からの差し入れなど旬の食材に事欠かない。NPOの会員約60人を中心にボランティア25人が交代で仕事を分担し運営しながら、フリールームの活用も行い、手芸、パソコン、器楽演奏、ゲーム遊技などの教室を開いている。
田中さんは「高齢者だけではなく障がい者や熟年世代、若い世代まで利用されることで、地域の人たちにとってなじみの居場所として定着し、お互いになじみあえる機会を提供していきたいです」と語っている。
1)愛称:美湖ちゃん弁当
高齢者・障がい者の方には心のこもった手作り弁当であり、利用者の方との語らいはスタッフにとっても心の栄養として以下の想いで提供している。
・利用者の栄養バランスを考えた美湖ちゃん弁当
・安心・安全地元の食材を使った美湖ちゃん弁当
・食べ飽きない家庭的な味付けの美湖ちゃん弁当
2)愛称:美湖ちゃん支援隊
顔見知りのスタッフ(会員)が伺って、以下の様な日常生活支援をする。
庭木剪定、下水掃除、庭関係(草取り・片づけなど)、換気扇・風呂・ガラス拭きなど、室内掃除・かたづけ、買い物等
3)愛称:ボナペティ美湖
誰でもいつでも気軽に利用できるコミュニティレストラン。2階のカウンターからの眺めは抜群であり、180度の眺望が開けている。
冬の水鳥2000羽(を超える日もあります)の集結は圧巻、バードウォッチングできる(小白鳥・カモ・キジ・ケリ等)
ボナペティ美湖の名前の由来は、「ボナペティ」はフランス語で「さあ、召し上がれ」という意味。
「美湖(みこ)」は、いつまでも美しい湖であってほしいという願望をこめてつけた。
4)ミニコンサートと歌声喫茶
いろいろなジャンルの演奏家をお招きして、普段触れる機会のない楽器や美しい歌声に触れる機会を提供する場となっている。 生オケで楽しく皆で楽しく過ごすイベントもある。さらに、月1回「歌声喫茶」を開催している。これは、ボランティアで、歌唱力のある歌好きなNPOの会員さんが指導され、昔男声合唱団で活躍した人など、男性も5、6人来られて楽しんでいる。
5)ミニ講座
身近な場所で気軽に聞ける医療の話・防犯の話・歴史の話などの講座。見知らぬ者同士でも趣味を通して知り合い、交流を深める場を提供している。特に小野や和邇周辺の古代歴史は、中々に面白くこの地域の素晴らしさを教えてもらえる。
6)次のようなサークル活動も行っている。
これは、ボランティアの先生が主となる活動となっている。
・パソコン教室
仲間との楽しい交信、写真の保管、世界中の隅々のニュースや画像が一瞬に手に入ります。ご自分が習いたいところだけ教えてもらえます
・健康麻雀
・手編み毛糸教室
・折り紙教室
・ウクレレ
・絵手紙
・小物づくり
・歌声喫茶
歌声喫茶以外の活動では、男性の参加が少なくさらに多くの男性の参加を企画したい。
7)各種教室
外部の先生に指導してもらえる。
・書道教室
・民謡三味線
・俳句
・ミニハープ教室
8)町なかデイハウス美湖
3年ほど前にNPO法人琵琶湖ライフケアシステムが初めて介護事業を開始した。住宅地の中の民家改修型で小規模だが、庭がとてもきれいで落ち着いた雰囲気の中10人ほどが会話やリハビリを楽しんでいる。
場所;大津市朝日1-17-4
電話;077-594-0710
9)介護職員初任者研修
この研修は、高齢化する住民のサービスのために必要なヘルパー育成を目指したものであり、多くの人に成ってもらいたいとの想いがある。
少し具体的に説明をすると、介護職員初任者研修課程は、「介護」に関する講座で、133時間(講義と実習)出席し修了試験に合格すると修了証を取得できます。「介護」は、高齢者・障がい者が自分らしい生活を維持し、住み慣れた地域でいつまでも生活ができるように支援する。
長寿社会を迎える中、老化や、障がいにより、身体の機能の低下や、病気、認知など精神的疾患にも対応できる学習の入り口課程。介護実習施設で実技を学び、講義の内容がより一層理解でき現場の介護に役に立つ講座となっている。
今後は、介護分野に理解のある人、技術を持っている人などが必要とされ、専門性を持った質の高い介護を行うため、 特に、団塊世代の方が地域の一員となって活動をするのに役立つ。
昨年度まで開催された研修会では,10人弱の方が受けられて、地元で活動をしている。
10)美湖ニュースの発行
パソコンの苦手な高齢者が多い中、ボナペティ美湖を中心とした活動や関係ある情報を月1回、小冊子として3500部ほどを会員さんを中心に送付して、地域コミュニティとしての情報提供を8年ほど継続している。健康に関する内容や会員の俳句などその内容は、出歩きが難しい人への情報提供としても参考になっている。
3.これからのこと
田中さんは、
「3年前に街中に作ったデイサービスが好評でもあり、また自身の想いを更に深めるためにも、本格的な介護施設の運営を行うことを具体的に考えていきたい。また、国の動きもあるが、個人的にも「介護予防」のサービスを本格的に行っていきたい。更には、この「コミュニティレストラン ボナペティ美湖」をベースに地域コミュニティ作りを一歩進めて、介護サービスを加えた総合的な地域支援を進めていきたいし、多くの若い人が仲間として頑張って行ってほしい」と想いを語ってくれた。
ボナペティ美湖を訪問して、田中さんから色々と話を聞いていると、この地域でのコミュニティ創りに日々頑張っているのが、よく分かる。このような役目を担うのが公民館や市民センターなのだろうが、多くは単なる場所貸し的なレベルに留まっている。元気な高齢者や介護を必要とする高齢者を中心に、老若男女を問わず集まり、様々な講座やイベントによる「居場所作り」をなお一層進めてもらいたい。
(おうみネットサポーター 小久保 弘)