熊野で棚田ボランティア
こんにちは。琵琶湖博物館 環境学習センターのまっちゃこと池田勝です。
4月19日(土) 日野町熊野地区へ棚田ボランティア活動に参加してきました。
これまで高島での草刈り棚田ボランティアは経験があったのですが、今回は田植を控えた水路掃除がメイン作業とのこと、重なる棚田へどうやって水を引いていくのか興味があり、また滋賀の東方面での棚田も見てみたいとの思いもありお手伝いに行きました。
水路の整備で、まずは田んぼへ水を引く川から取水口へ水を流さなければいけません。
しかし、昨年の18号台風で取水口には砂や石が詰まっていました。
皆で砂を堀り、石を除け、さらに取水口に向かうように水の流れを作りました。
4月と言えど水はまだまだ冷たい!石を取りだす手が震え、時折吹く突風に水しぶきがかかりながらの作業でしたが、なんとか取水口へ水を流すことができました。
地元の方に聞くと、子どもの頃はこの川でよく遊んだとのこと、カジカを取ったり、イワナが釣れたり、また大人に川をせき止めてもらってプール替わりにして泳ぎの練習をしたこともあったそうです。
田んぼへ水を配り、子どもに遊び場や食べ物も提供する大事な川です。
取水口に入った水が田んぼへ流れていくように、雑草や石、砂、枝などで詰まった水路を掃除します。
途中トンネルがあって水が流れなかった所がありました。
そこで長い竹でゴソゴソやって、詰まりを取り除こうとすると・・・
反対側から「わっー!」の声。
なんとトンネルにタヌキが入っておりました。竹で小突かれて、びっくり出てきたようです。
「来年竹でゴソゴソする時は、網を仕掛けとこかな」と笑いが漏れていました。
田が一枚違えば、取り入れる水の元が違い、勝手なイメージで上の水を下の田へ流し、それが次の田へと簡単に思っていた私。
今回かなり遠い取水口から水を取り入れていることに疑問を持ち、聞いてみると。
「川の水がかなり冷たいから、長く水路を通すことで、水の温度を上げている。それでも水路から近い田の稲は、水が冷たいからなかなか育たない。」とのこと。
先人の経験や工夫があって、現在の形ができあがっているんですね。
水路を整備していると同時に、棚田へ堆肥(発酵牛フン)を撒きました。
同じ日野町の川下の地域で飼われている牛の牛フンが、堆肥となりまた地域へ返ります。
香ばしい!?かおりの中、スコップでまんべんなく撒きます。
小学生の参加もありますが、お父さんと一生懸命仕事をしてくれました。
休憩時間には、地域のお話を聞くことができました。
熊野地区は過疎化で20軒足らずだそうです。が、地域の方々は元気で棚田ボランティア活動を契機に、休耕田であった棚田を少しずつ復活させておられたり、若い方が帰省して田んぼを手伝ってくださっているそうです。
また、棚田ボランティアには10年以上継続して参加されている方がおられたり、情報を知りわざわざ東京から新幹線で駆けつける大学生もおられるとのこと。
参加した4月は田起こしが始まった頃、今頃は水が張られ、さらに棚田の景色が広がっているのでしょうね。
ぜひ、みなさんも棚田ボランティアにご参加ください。
環境学習メールマガジン「そよかぜ」でも掲載していますし、おうみ棚田ネットにも棚田ボランティア紹介があります。
ちなみに、集合場所の熊野地区集会所の隣には、熊野神社があり、巨木がでーんと控えており、荘厳な雰囲気を醸し出していました。
水が豊富な熊野地区。神社にも美しい水がわき出ていました。
熊野と聞くと、和歌山の熊野を思い出します。地元の方によると、和歌山の熊野神社のもととなったとか、関係があるないとか。歴史をひも解くのも面白そうです。
そして、こちらでも「熊野の滝」があります。行ってみたのですが、18号台風の影響で美しい姿は見られず、また道中も危険な個所がいっぱいありました。
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