こんにちは。琵琶湖博物館 環境学習センターの布川です。今日は先月末に琵琶湖博物館で開催した香りのイベント「ヒノキでアロマ ~香りで感じる いきもののつながり~」についてご紹介します。
今回はヒノキの葉から精油(香りのもと)を抽出する過程を体験し、またこれを使ったバスボム(入浴剤)作りをしました。さらに世界でたったひとつのオリジナル香水の調合にも挑戦し、これらを通して植物の香りの恵みと私たちの暮らし、そしていきものを育む地球環境とのつながりについて考える内容となりました。
▼ イベント告知チラシ。今回のイベントには定員12名を大きく上回る多くの方にお申込みいただき、抽選となりました。昨今のアロマ人気と、精油の蒸留体験ができるという珍しさからか、男女とも幅広い年代の方に興味を持っていただけました。
▼ 会場は博物館の森の中にある生活実験工房。普段は閉まっていますが、四季折々の田んぼ行事や昔の暮らしを体験できる懐かしい雰囲気の建物です。
▼ 来場した人から順に、会場周辺の田んぼや森で採れた植物を用いた香り当てクイズに挑戦。葉っぱをちぎってティーバッグに入れ、香りをかいで何の植物か答えてもらいました。ちなみにこの日用意したのはヨモギ、ハッカ、ユズ、レモングラス、クスノキ、クロモジの6種類。
▼ 参加者一人ひとりに好きな香りを挙げてもらい(線香、炊きたてのご飯、オレンジ、コーヒーetc.)、もしもそれらの香りがなくなったら私たちの暮らしはどうなるか?何か困り事は出てくるだろうか?と皆で考えました。
(公社)日本アロマ環境協会サイトより画像を引用
▼ 次に、植物は何のために芳香物質を発しているのかを学びました。
(公社)日本アロマ環境協会サイトより画像を引用
植物の香りには、
・ 鳥や昆虫を引き寄せ、受粉を促進したり、種子を遠くへ運んでもらう誘引効果
・ 苦味などで虫や鳥を追い払い、食べられないようにする忌避効果
・ 有害な菌やカビ等から身を守る抗菌効果
・ 他の植物との生存競争に勝つため、その種子の発芽や成長を止めたり抑えたりする調整効果
・ 汗のように芳香物質をよく蒸発させ自らを冷却し、強い太陽の熱から身を守る働き
……等々があり、アロマテラピーでは植物の作り出す精油(香りのもと)が持つこうした有用な働きを、人間が分け与えてもらっていると言えます。植物がちゃんと香るためには、植物が育つ環境も大事にしていく必要がありますね。
▼ ヒノキの葉の精油づくりや、良い匂いがする樹木について教えてくださったOMBK 特定非営利活動法人 おうみ木質バイオマス利用研究会の寺尾先生。この翌日から放送開始のNHK朝ドラ「マッサン」のウィスキーの香りなど旬な話題を織り交ぜつつ、楽しくお話ししていただきました。
▼ 集めたヒノキの葉を細かくちぎって蒸留器に入れ、水蒸気蒸留法で精油(香りのモト)を抽出します。
▼ この蒸留器、ポルトガル製なんですって。玉葱のような愛らしいフォルムに皆さん釘付けでした。会場中がヒノキの葉の甘く優しい香りに包まれています。
▼ フラスコ表面に浮いている黄色いものが精油で、その下は芳香蒸留水です。大量の葉っぱから採れる精油は数mlとごく僅かで、とっっても貴重なものなのです。写真右端に写っている小瓶に精油を入れ、早速アロマグッズ作りに使えるようにします。
▼ 採れたての精油(上記)を用いてバスボム(入浴剤)作り。まずはクエン酸、あら塩、重曹をそれぞれ量ってビニール袋に入れます。次に、ヒノキの精油と相性がいい精油を組み合わせて好みの香りを付け、まんまるに丸めて固めたら完成!これはバスタイムが楽しくなりますね。
▼ 精油使用法の基本やバスボム作り、オリジナル香水作りを教えてくださったアロマセラピストの村山先生。
▼ 調香のコツをプロに教わりながら、世界でたったひとつのオリジナル香水の調合に挑戦。皆さん真剣そのものです。
完成後に香水のタイトルを考えて一人ずつ発表。「美魔女」「夜遊び」「MYSELF」「クリエイティブ・ラヴ」「はじけるラムネ」「また会いたい」……等々、遊び心溢れるネーミングが飛び出しました。お互いの香水をかいで、素敵な香りに感心したり意外性があって驚いたりと、とっても盛り上がりました。
▼ 精油抽出の際に採れた芳香蒸留水をボトル詰めにして、参加者の皆さんへのお土産にしました。ルームスプレーとして楽しんでいただけます。
当イベントに参加して精油を採る方法に興味を持った人、自分で思い描いた香水が作れて楽しかった、植物と香りのことをもっと深く知りたくなったという人が多く、これを機に身のまわりの自然に目を向ける方が増えたならこんなに嬉しいことはありません。大好評につき第2弾、あるかもしれません。次は何をしようか、今からわくわくします。
☆ おわり ☆