「第5回よばれやんせ湖北」 に参加してきました
こんにちは。琵琶湖博物館 環境学習センターのまっちゃこと、池田勝です。
11/29(日)、長浜バイオ大学で開催されました「第5回よばれやんせ湖北 に参加してきました。
これまでの第1回から第4回までは、琵琶湖の美味しいビワマスやジビエ料理などをメインにして、まずは触れて食べてもらい、そして語らうという場を作って来られましたが、今年度はフォーラムとしてパネルディスカッションや講演を基本にして、未来を探ろうとのことで、開催されました。
(これまで、美味しそうな食がメインになっていましたが、全く参加できずでした。。。)
今回のテーマは「循環型社会における生産者と消費者のあり方」です。
そこに湖北の地産地消とそのビジネス展開が絡んで、どのような内容になるか楽しみです。
環境学習センターとしては、湖北が地産地消で元気になり、さらに循環型社会のモデルとなればなぁとの期待があり、そこに環境学習の要素を活かしていけないか、ヒントがあるかなぁと思っての参加でした。
まずは、循環型社会システム研究所代表の森建司さんの基調講演「地産地消で地域おこし~まず食から~」です。
旧びわ町出身で、新江州株式会社の社長を務められていた森さんは、主に企業向けの包装材料を扱っておられましたが、顧客のために何が出来るかを考え、「包装を減らそう」と動かれました。
例えばスーパー1店では約5万点の商品があり、その全てが包装され、行く行くはゴミになっていきす。
包装を減らすために、包装を扱っている会社自ら協議会を立ち上げて、減らそうと動かれました。
そのように、会社は自己矛盾を抱えています。同様に世の中の全ては自己矛盾があると話されました。
大量消費で使い捨てが流行ることに対して、もったいない(M)の心が必要であり、またこれまでの世代とこれからの未来の世代への共生を考えるおかげさま(O)、拡大社会に対してほどほど(H)に抑制することのMOHの精神の大切さを話されました。
ある会で、「ほどほどとは何ごとかと、それでは経済は発展しない!」と言われたそうです。しかし、現代の欲望が拡大を続け結果、未来の世代はどうなるのか、誰が未来に責任を持てるのかと反論したそうです。いまやハウスメーカーは、住宅でさえ25年程度の消耗品と捉えています。大企業は、人件費をいかに減らして競争に勝ち残るかを考える経済論理上にいますが、地域企業は、社員が家族であり、生産者と消費者を分ける必要はなく、常に同じ生活者で回っています。
さらに、食は生きていくために絶対に必要なものであり、経済至上主義の利益を目的とした経済活動から外すべきです。その食を生産する地域の農業が安心して生産が続けられる状況を守るシステムが、持続可能性社会となる第一歩ですと話されました。
途中、会場が思わず笑ってしまうようなエピソードやびっくりする事例などを交えながらお話しくださりました。
今回の会場では、ミナミハマぶどうジュースを試飲することができました。
ぶどうをそのまま絞ったジュースです。濃縮還元ではなく、そのまんまのぶどうです。美味しかった~
こちらは、ウッディパル余呉さんの商品。山焼きをされてつくられた赤かぶドレッシングも並んでいます。
ヨコタ農園さんのブース。イチゴソースがさわやかで美味しかったです。イチゴジャムと、ソースそれぞれ作り分けておられるんですね。
後半は、パネルディスカッションです。
コーディネーターを実行委員長の前川さん(ウッディパル余呉)がつとめられ、パネラーは、馬場さん(北びわこ水産)、横田さん(ヨコタ農園)、山本さん(旅館紅鮎)、コメンテーターは森さんです。
パネラーはそれぞれ、市場や流通に詳しい馬場さん、生産者として、また六次産業化を目指す横田さん、観光やサービス業からの山本さんと、立場が異なるため、話題は多岐に渡ります。
パネルディスカッションで、話されたことからいくつかあげますと、
・地産地消と言うが、それだけでは売りにくい。価値あるものでないと。また価値があれば、県内だけでなく、県外(外貨)を稼ぐことができる。その価値を発見するアイデアや育成、販売戦略が必要であり、モノ、人、金に合わせて、情熱と愛着があればこそである。
・最近、インバウンドや爆買いなどの訪日客の増加が報道されているが、長浜に来られるのは、ほとんどが金沢~京都、大阪の途中でついでという感じである。
・食の価値観が、以前のお腹の満足から、舌の満足、そして安心安全へと、頭の満足へと変わってきている。
・県外の方は、まだまだ滋賀の特産物への理解が浸透しておらず、高級な鮒ずしやコイ、アユなどを食べられない方も多い。
・今すぐの日常に使える地産地消は限定的であろう。しかし、世の中は確実に変わっていく。変わっていくという前提で、どのような方向性に向かうかを考えておくべきである。
・長浜という地域を考える際、対岸の高島を見て比べていることがある。高島は比較的移住者も多く出入りがあるが、長浜はどちらかというと閉鎖的ではないか。しかし、ここぞで集まれる強さを持っているのも長浜である。
・組織のトップは、「次のトップは誰にするか」を考えるのが仕事でもある。部下の仕事を奪うのではなく、トップしかできない仕事をし、計画的に物事を進めるべきである。
・WEBやSNSを活用して、自分をアピールしている。そこからのつながりや縁を感じ、それが元気になっている。また、後継者不足に対しては、まちおこしや農業従事者を増やす気概で事業を行っている。
特に印象に残ったのは、
「中学校の環境学習で習ったのは、多様性の大事さである。生き物にとって多様性が大事であるが、人も会社も多様性がないと元気になれない。」と、当時、湖北中学校が環境学習を熱心に取り組んでいたからこそ、今の考えや生き方につながっていると山本さんがお話しされたことです。
このフォーラムで、直接的に「環境学習」の言葉を聞くとは思ってもおらず、ビックリ、うれしい言葉でした。
環境学習は、直接環境行動を促すだけでなく、長い年月を経て、人を導くものであるものだと理解できたひと時でした。
パネルディスカッションに先だって、前川さんが「この会では、何かまとめるものではないが、たくさんのヒントがもらえる場となる」と話しておられたように、流通から、生産者から、サービスから、それぞれ長浜や地域の未来を考える人と出会い、学びのヒントをもらえたように思います。
来年は、どのような会になるのでしょうか。楽しみにしています。
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